Vol.003 ホームページに必要な施工事例とお客様の声とは?
自動車業界インターネット活用講座 Vol.003
前回(Vol.002):「ホームページには“選ばれる理由”を伝えることが大切」とお伝えしました。今回はその続きとして「施工事例」や「お客様の声」をどのように掲載すればさらに問い合わせにつながるのかについて解説します。
あなたはどちらのラーメン屋に行きたいですか?
店主が「うちはとても美味しいラーメン屋です」と言っている店、
お客さんが「あの店はとても美味しいラーメン屋です」と言っている店、
おそらく殆どの人が、お客さんが「あの店はとても美味しいラーメン屋です」と言っているお店のほうを選ぶはずです。実は両方とも、同じことを言っているに過ぎないのですが、自分で言うのか他人に言ってもらうのかによって、天と地ほど差があることがわかると思います。つまり自分のお店の評判は、他人に言ってもらわなければならないのです
これは、ホームページでもまったく同じです。いくら「うちは丁寧です」「価格も良心的です」と書いていても、それだけではお客さんの心に届かない時代になっています。
そこで力を発揮するのが「施工事例」や「お客様の声」なのです。お客の声や施工事例というものは、言い換えれば、お客さんがあなたの店のことを語ってくれる場となるわけなのです。
- 実際にあなたの整備工場に依頼した人が「助かった」と言っている、
- 実際にあなたの整備工場で修理した体験を「こう直してくれた」と紹介している、
- 実際にあなたの整備工場を利用した人が「またお願いしたい」と言ってくれている、
こうしたリアルな声は、どんなキャッチコピーよりも説得力があります。「施工事例」や「お客様の声」は、単なる実績紹介ではありません。あなたに代わって、信頼を築いてくれる営業マンのような存在なのです。なので、ホームページを作る際には、面倒くさがらずにお客さまの声や施工事例を重要視するようにして欲しいと思います。
では、どうすればその「声」や「事例」を、より伝わる形で見せることができるのか?今回は、その具体的な見せ方の工夫について解説していきたいと思います。
載せてはいるけど効果が出ないのはなぜ?よくある失敗パターン
- 事例ページがビフォーアフター写真集になっている
- お客様の声がありがちなテンプレで感情が伝わらない
事例ページが「ビフォーアフター写真集」になっているとは?
これは、「施工前」「施工後」の写真だけを並べて、補足説明がほとんど無いページを指します。写真が上下に並んでいて「ビフォー」「アフター」とだけ記載されている、修理内容の説明が「リアバンパー交換」など簡潔すぎるなど、なぜその作業になったのか、費用はどれくらいかかったのか、納期はどうだったのかなど、読み手が気になる情報が書かれていないと共感されません。
写真だけ掲載してもユーザーには伝わりません。作業の価値や工夫、難しさは、写真だけでは伝わらないのです。見る人は専門家ではないので、どこがどう変わったのかよく分かりません。このような事例集では「この人に頼めば自分も助けてもらえそう」という信頼感や共感が生まれません。
お客様の声が「ありがちなテンプレ」になっているとは?
よくあるありがちなお客さまの声:「丁寧な対応で満足しています。ありがとうございました。」これは一見ポジティブな評価ですが「誰でも言えそうな一般論」であり、そのお店ならではの魅力が何も伝わってきません。お客さんの感情の変化が感じられず、その人がどんな状況で依頼したかが分からず、どのお店でも成立する没個性的な内容では意味がありません
これら2つの失敗の根本には、次のような準備不足があります。
目的が不明確
「この事例ページを読んだ人に、何を感じてほしいか?」が決まっていない。たとえば、「価格の安さ」「仕上がりの美しさ」「対応の早さ」など、アピールしたいポイントが曖昧なままとにかく載せてしまうと、結果として伝わらないページになります。
伝えたい内容が整理されていない
「何を書くべきか」「どういう順番で見せるか」が決まっていない。そのため、写真だけ載せて終わりな、テンプレート的なお客さまの声になってしまい、読み手の印象には残りません。
これらを解決するためには、そのお客さまの声や事例集を見る人に何を伝えたいか?を明確にしてから構成を決めることが重要です。
施工事例 : 「どういう悩みを、どう解決したか」
お客様の声 : 「その人の感情と背景」が伝わるようにする
自分たちの満足ではなく読み手の視点でお客さまの声と事例を設計し直すことが、反響を生むページへの第一歩です。
写真だけでなく物語性を添える
「写真だけでなく物語性を添える」とは、単にビフォー・アフターの写真を載せるのではなく、その修理や施工の背景にある物語を一緒に伝えるという意味です。「なぜこのお客さんはこの修理をあなたに依頼したのか?」「その際にどんな不安があったか?」「施工後どう感じたか?」など、お客さんの感情の変化を文章で伝えましょう。
なぜ物語性が必要なのか?
写真は視覚的に効果があり「どこが直ったのか」は一目でわかります。しかし「なぜその修理が必要だったのか」「お客様がどんな想いで依頼したのか」という背景がないと、読んだ人の記憶に残りません。物語性があることで、読み手は感情移入できるようになり、「自分にも似たようなことが起きたら、このお店に頼もう」と思えるようになります。
具体的にどう書けば良い?
施工事例に添えるべき物語性の要素とは、以下のような流れで文章を組み立てていくのが効果的。
【1】依頼に至ったきっかけ
「保育園の送り迎え中、狭い道で壁にバンパーをこすってしまったお客様からご依頼をいただきました。」
【2】お客様の悩みや不安
「ディーラーでは交換で10万円以上かかると言われたため、なんとか安く修理できないかとご相談をいただきました。正直なところ、10万円の予算を捻出するのは厳しいが、毎日保育園にお迎えに行くのに凹んだバンパーの車で迎えに行くわけにもいかず、とても困っていらっしゃいました。」
【3】こちらの対応・提案内容
「バンパーを交換せずに、部分補修+塗装で対応することをご提案。約3万円で修理可能とご案内しました。」
【4】仕上がり・納期・反応
「仕上がりには非常にご満足いただき、納車時には“まさかここまでキレイに直るとは思ってなかった!ディーラーで10万円と言われていたのにキレイになおって良かった!”毎日恥ずかしい思いをしていたが、明日から堂々とお迎えに行けるのでホッとしています!」とのお声をいただきました。」
このように、お客さんの物語が見えるような構成にすると、ただの事例ページが「共感を生むコンテンツ」になります。
さらに効果を高めるためには、お客さんの
- 「生活シーン」を入れる(送迎、通勤、買い物など)
- 「数字」を入れる(費用、日数、見積額の差など)
- 「感情」を伝える(不安、安心、驚き、満足)
こうした要素を組み合わせて書くだけで、同じビフォーアフター写真でも、反響を生む事例に進化します。
写真+価格+車種名、だけでは作業報告書止まりです。写真+ストーリー+お客様の反応、まで添えると、次のお客さんの背中を押すコンテンツになるのです。施工事例に物語性を持たせることは、単なる情報提供ではなく、信頼をつくる営業ツールへと昇華させる手法なのです。
クリックされるか無視されるかはタイトル次第
タイトルも重要ですよね
たった一行で反響が変わる理由とは?
ホームページ上で、ユーザーが読むか読まないかを判断する最初のポイントがタイトル(見出し)です。たとえ内容が素晴らしくても、タイトルが「ふつう」「地味」「抽象的」だとスルーされてしまいます。逆に、「タイトルが気になる」「自分に関係ありそう」と思ってもらえれば、クリック率や滞在時間が格段に上がり、反響にもつながります。
よくある“もったいないタイトル”の例:
- ヴェルファイア/リアバンパー交換(北海道市)
- フリード/ドア板金修理(東京市)
- ○○様の声(ホンダ・N-BOX)
これは「事実を記録しているだけ」のタイトルで、興味を引く力が弱いです。検索にも引っかかりにくく、心にも残りません。
良いタイトルのコツは3つの要素を意識することです。
読み手の「悩み」や「共感」を含める
「ディーラー見積12万円→3万円で直った修理事例(ヴェルファイア/横浜市)」
数字や結果を入れる
「即日対応・2時間で完了!バンパー修理(N-BOX/神戸市)」
地域名や状況を含めて検索に強くする
例:「高松市/保育園の送迎中にキズつけたフリードの修理」
タイトルを変えるだけでこうなります
【Before】:「C-HR リアフェンダー板金修理(東京市)」
【After】:「名古屋市/ディーラーで20万円の見積りが半額以下で解決したC-HRのフェンダー修理事例」
こうすることで、安く済ませたい人やC-HRに乗っている東京市在住の人など、関係がありそうな人の目に留まる確率が飛躍的に上がります。さらに「地域名+車種名+症状(修理内容)」を含めたタイトルは、Google検索でロングテールキーワードにヒットしやすいというメリットもあります。
たとえば「東京市 ヴェルファイア バンパー 修理 安い」で検索するユーザーにピッタリのページになれば、自然検索からの集客も見込めます。
- 数字やエピソードでインパクトを出す
- 地域や車種で検索性を高める
- 悩みやメリットで共感を生む
これらを意識するだけで、タイトルは反響を生み出す“キャッチコピー”に変わるのです。
というわけで、ぜひ自社ホームページには、お客さまの事例やお客さまの声をしっかり掲載する設計としていただき、自分たちの言いたいことを書くのではなく、お客さんが知りたい内容を、お客様の声と事例を使って伝えるようにしてみてください。
いますぐ使える!事例&声ページ改善チェックリスト
□ 写真にストーリーが添えられているか
□ お客様の“悩み”と“解決”が明確になっているか
□ 同じような悩みを持つ人に刺さる表現になっているか
□ 事例・声の数に偏りがないか(車種・地域・年代など)
□ 見た目がスマホで見やすく整理されているか
□ タイトルに検索キーワードや共感ワードが含まれているか
□ 写真だけでなく「なぜ」「どうして」「どうなったか」が記載されているか
□ お客様の感情や背景が感じられる表現になっているか
実際の声や実績は、あなたに代わり最大の営業マンになります。まずは、今掲載している施工事例やお客様の声を、“伝わる見せ方”に整えてみてください。
ただ掲載するだけではなく、「伝え方の工夫」で、問い合わせ数は大きく変わります。次回はさらに一歩進んで、検索されやすいキーワード設計とSEO連動の考え方を解説予定です。「更新しても検索に出てこない…」実践した人から、ホームページの反応は確実に変わります。
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ次回をお楽しみに!

