レンタカーを広告塔にする話

あなたの町には、路線バスは走っていますか?
ほとんどの街で、路線バスは日々巡回していると思いますが、その側面や後部に、地域の整骨院や学習塾、美容室、不動産会社の広告が大きく掲載されているのを見たことがあると思います。また、その広告の看板やお店を街で見かけたときには、「あ、これ見たことある」という感想を持った方も少なくないでしょう。多くの企業がインターネット広告に目を向けている今、じつは地域の看板やバス広告といったローカル広告の成果が見直されています。
バス広告はもともと、地域との親和性が高い広告手法です。地元の人々の目に自然と触れることから、効果的なブランディングや認知度向上に寄与します。費用対効果の面でも、レッドオーシャンと化しているインターネット広告ではなく、あえてこうしたローカルメディアを活用することが、新たな戦略となるかもしれません。
というわけで、
「路線バスの広告効果が高いから、あなたのレンタカーの広告をバスに出しましょう!」という話ではありません。
あなたが「バス」になればいいのです。
目次
あなたのレンタカーが広告塔になる
バス広告の効果が高いのであれば、自社レンタカーの外装に広告を載せるのも効果が高いはずである・・・
ということです。
レンタカーの側面や後部に広告を載せることで、バスと同様に、あるいはそれ以上に広範囲な広告効果が期待できるのです。
バス広告の「注目力」は、レンタカーでも再現できる
バス広告が今でも選ばれ続けている理由は、「見られる機会が圧倒的に多いから」です。地域で何度も何となく目にするうちに、人々の記憶に自然と残っていきます。テレビCMのようにスキップされることもなければ、新聞広告のように読み飛ばされて終わることもありません。そして、私たちが日々使っているレンタカーもまた、地域を走り、停まり、駐車し、人の目に触れる機会にあふれています。レンタル中の駐車スペースはもちろん、スーパーの駐車場、駅前ロータリー、住宅街など、1台の車が1日で動く範囲は広く、多くの層の目に触れます。
つまり、レンタカーは「動く広告塔」として十分な可能性を持っているのです。しかも、バスと違い決まったルートがない分、より自由に、より深く地域の中へ入り込んでいけるのも大きな強みです。
地元企業の広告を載せた2台のレンタカー
実際に、ある県の中古車販売店では、地元の飲食店と美容室の広告をラッピングしたレンタカーを2台運用しています。1台あたり約10万円で側面の部分ラッピングを施工し、それぞれ月1万円ずつの広告料を受け取り、年間で24万円の広告収入を得ています。ちなみにこの店舗ではラッピング費用を自社で負担しましたが、回収には6ヶ月もかからず、残りの半年分はそのまま利益になったとのこと。
さらに、飲食店側からは「広告を見て来店してくれたお客さんがいた」との声があり、美容室からは「地域で話題になった」と好評だったそうです。何より、この広告を通じたやり取りがきっかけとなり、両社ともに車両の点検・整備・車検の相談もするようになり、関係性がより深まったとのこと。つまり、広告収益だけでなく、顧客との距離が縮まり、自然とビジネスチャンスが広がっていく仕組みが生まれたのです。
法人営業先は「既存顧客」で良い
「自社のレンタカーに広告を出してくれる企業を、どうやって探せばいいのか?」
多くの方が最初に感じる壁が、これです。
でも、実はその答えは、すでにあなたの手元にあります。
整備・車検・車販などで既にお付き合いのある法人顧客こそ、最適な広告主候補です。顧客に対して「うちのレンタカーに、御社の広告を載せて地域を走らせませんか?」と声をかけてみてください。これは単なる広告の営業ではなく「御社を応援する仕組みがありますよ」という信頼関係を深める提案です。こうした会話をきっかけに、社用車の点検依頼や買い替え相談が持ちかけられることもあります。つまり、ラッピング広告は「営業ツール」としても機能してくれるのです。
ラッピングで何を伝えるか?
ラッピングに載せる広告内容は、地域に根ざしたものであればあるほど効果が出やすい傾向があります。たとえば飲食店のランチ情報、美容室の割引キャンペーン、学習塾の講習会案内、不動産会社の物件情報など。また、地域のイベントやマルシェ、スポーツ大会の告知にも最適です。
もちろん、自社のPRに活用するのも効果的です。「車検は○○モータース」「24時間事故対応OK」「代車即対応」といった自社の強みを、街中で自然にアピールできます。ラッピングデザインによっては、古めの車両でも十分活用可能です。違法車両でない限り、年式の古さはそれほど影響しないでしょう。
費用と回収のシミュレーションを考えてみた
フルラッピングは1台あたり15〜25万円程度、部分ラッピングなら5〜10万円が相場です。もっと手軽に始めたい方は、1〜3万円程度で導入できるマグネットタイプの広告ボードもおすすめです。(ちなみにマグネットタイプのラッピングは、イプラさんにも商品があるはずなので、調べてみてください)
https://ehimekikaku.com/
仮に月額1万円の広告料を2社から受け取れば、年間24万円。半年〜10ヶ月で費用を回収し、その後は“純収益”になります。また、初期費用を広告主に負担してもらう形にすれば、自社のコストゼロで導入することも可能です。広告費がローカル価格で手頃だからこそ、導入のハードルも低く、交渉もしやすくなります。
実際に始めるにはどうするの?
正直なところ、この話はこれまでも何度か紹介してきましたが、なかなか実行に移されないケースが多いです。でも、手順が明確であれば「やってみよう」と思える方もいるかもしれません。まずは、付き合いのある法人顧客を思い出しながら、広告主として協力してくれそうな企業をリストアップしてみてください。
次に、ラッピング業者に見積もりを依頼し、広告の期間、料金、デザインの方向性をざっくり決めておきます。
そのうえで営業先に「どういった見え方になるか」「どのくらいの人に見られるか」「どう活用できるか」などを伝えられる簡単な資料を用意しておくと、話がスムーズに進みます。施工については、地元のカーラッピング業者に相談すれば、デザインから印刷・施工まで一貫対応してくれることが多いです。
まずは1台から始めてみて、成果が出れば、広告主の追加や車種の拡大も検討できます。
地域とつながる。顧客とつながる。信頼が深まる。
ラッピング広告の最大の魅力は、ただ「目立つ広告ができる」ことではありません。それによって生まれる顧客との関係性や会話のきっかけこそが、何よりも大きな価値になります。地元企業と「地域を一緒に盛り上げる仲間」になれる。その関係の中から、社用車の話、車検の相談、スタッフの紹介など、思わぬ広がりが自然と生まれていきます。あなたのレンタカーが、単なる貸し出し車両ではなく、「信頼関係を運ぶ媒体」になっていく可能性を体感してみてください。
まずは1台から
レンタカーを「走る広告塔」として活用するこの方法は、地域密着型ビジネスと非常に相性が良く、すぐにでも実行できる営業手法です。
まずは、1台から始めてみてください。