アクセスが減っても、売上が増えるホームページとは?
アクセス数よりも大切な問い合わせの質と成約率
「ホームページのアクセス数が減っている」という経営者の話を耳にすることが増えてきました。
実際、これまでGoogleなどの検索エンジンからホームページに訪れていた人たちが、ChatGPTをはじめとしたAIを利用するようになり、わざわざホームページを開かなくても知りたい情報が手に入る時代になりつつあります。前号、前々号でもお伝えしてきたように、お客様の情報収集の方法が大きく変わろうとしているのです。
多くの経営者は、ホームページのアクセス数は多いほうが良いと考えています。アクセスが増えれば喜び、減ればホームページのテコ入れを考える。では、ホームページのアクセス数が減ることは、お店にとって本当に悪いことなのでしょうか?
例えば、毎月3,000人が訪問して10件の問い合わせがあるホームページと、毎月1,500人しか訪問しないのに20件の問い合わせがあるホームページ。皆さんなら、どちらが優秀だと思いますか。もちろん、後者ですよね。さらに言えば、問い合わせが20件あっても実際に仕事につながるのが2件しかないお店より、問い合わせが10件でも8件が受注につながるお店の方が、経営にとってはありがたいはずです。
ところが、ホームページの集客について話をしていると、いまだにアクセス数至上主義の経営者が多いことに気づかされます。「アクセス数を増やしたい」「検索順位をもっと上げたい」という要望をよくいただきます。もちろん、アクセスアップを目指すこと自体は間違っていません。しかし、アクセス数が増えれば問い合わせも増え、問い合わせが増えれば売上も増えるというほど、実際のウェブサイト運用は単純ではありません。
自動車販売店や整備工場のホームページに必要なのは、できるだけ多くの人を集めることでしょうか。それとも、車を購入したい人、車検や修理を依頼したい人に自社を見つけてもらい、安心して問い合わせをしてもらうことなのでしょうか。考えてみれば、答えはそれほど難しくありません。
私はあなたに、アクセス数という数字だけに一喜一憂するのではなく、「見込み客を増やすためにはどうすればよいか?」という視点でウェブサイトの運用を考えて欲しいと思っています。特に、限られた人数で営業している自動車販売店や整備工場にとっては、問い合わせの件数を増やすこと以上に、どのようなお客様から問い合わせをいただくかが重要になってきます。
今月は、ホームページのアクセス数が減少する時代に、どうすれば問い合わせや売上を増やしていけるのか。自動車販売店や整備工場の具体例を交えながら、これからのホームページ集客について考えてみたいと思います。
アクセス数が多いホームページは、本当に優秀なの?
ホームページの集客について相談を受けると、「今月は何人くらい見に来ていますか?」「同業他社と比べてアクセス数は多いのでしょうか?」といった質問をよくいただきます。もちろん、自社のホームページがどのくらい見られているのかは気になるところですし、せっかくお金をかけて制作したホームページですから、できるだけ多くの人に見てもらいたいと思うのは当然のことでしょう。
しかし、あなたがHPのアクセス数を気にする理由は何ですか?あなたがホームページを持っている目的は、アクセス数を増やすことではないはずです。車を販売したり、車検や整備の入庫を増やしたりすることであるはずです。
ところが、ホームページの運用を続けているうちに、いつの間にかアクセス数を増やすこと自体が目的になってしまうことがあります。毎月のアクセス解析レポートを見て、先月より増えていれば安心し、減っていれば何か対策をしなければと考える。数字を見て経営を行っているように見えますが、ちょっと明後日の方向へ目が向いてしまっているのです。
アクセス数というのは、ホームページがどれだけ見られたかを表す数字であって、どれだけ商売につながったかを示す数字ではありません。
例えば、ある整備工場のホームページに「車のエンジンがかからない原因」という記事が掲載されていたとします。その記事が有益で、Googleの検索で上位に表示されれば、全国から多くの人が訪問するかもしれません。月間数千件のアクセスが集まることも考えられます。
しかし、その記事を読んでいる人の大半が遠方に住んでいたとしたらどうでしょう。記事を読んで問題が解決した人もいれば、単に車の仕組みを調べているだけの人もいるでしょう。もちろん、そのような情報発信にも意味はありますが、地元のお客様を増やしたい整備工場にとって、全国からアクセスが集まることが、そのまま車検や修理の入庫につながるとは限らないわけなのです。
一方、アクセス数はそれほど多くなくても、「○○市 輸入車修理」「○○区 車検 予約」といった検索から訪問する人が多いホームページなら、どうでしょうか。こうした人たちは、単なる情報収集ではなく、実際に修理や車検を依頼できるお店を探している可能性が高いわけです。アクセスが月間数百件しかなくても、その中から毎月安定して問い合わせや入庫が生まれているのであれば、十分に仕事をしているホームページだと言えるでしょう。私はこのようなページの制作を得意としています。
ここで重要なのが、ホームページを訪問した人のうち、どのくらいの人が問い合わせをしてくれたのかという考え方です。専門的にはコンバージョン率などと呼ばれますが、100人が訪問して1人が問い合わせをすれば1%、100人のうち5人が問い合わせをすれば5%です。つまり、同じアクセス数でも、問い合わせにつながる割合が違えば、ホームページが生み出す成果は大きく変わってくるのです。
つまり、ホームページの成果を考える場合には、アクセス数だけでなく、その先にある問い合わせ、さらには実際の受注まで見ていく必要があるのです。しかし、これが出来ていない経営者が多い。圧倒的にできていません。WEB広告でお客様を集め、ホームページの内容を見てもらい、問い合わせをいただき、その後の営業対応で受注につなげる。この一連の流れを、一つの集客活動として捉えられていないのです。
もちろん、アクセス数が少なくても構わないと言っているわけではありません。どれほど優秀なホームページでも、誰にも見てもらえなければ問い合わせは生まれませんし、アクセス数が増えることで新しいお客様との接点が広がることも事実です。ただ、アクセスを増やすことばかりに力を入れて、せっかく訪問してくれたお客様を問い合わせにつなげる工夫ができていないとしたら、穴の空いたバケツに水をいれているようなもので、それはもったいない話なのです。
なぜ今、ホームページのアクセスが減っているのか?
いま、インターネットで情報を探す方法が変わり始めています。AIの普及です。
車のエアコンが効かないと困っている人がいたとします。
今まではGoogleで「車 エアコン 効かない 原因」などと検索して、表示されたホームページをいくつか開き、そこに書かれている情報を読み比べながら原因を調べていました。検索のその途中で整備工場のホームページにたどり着き、修理事例を読んだり、場合によっては問い合わせをしたりすることもあったはずです。
ところが、AIの普及で少し変わってきました。
同じ質問をChatGPTなどのAIに投げかければ、考えられる故障原因や確認方法、修理費用の目安などを、その場でまとめて教えてくれます。Googleの検索結果にもAIによる回答が表示されるようになり、わざわざ複数のホームページを開かなくても、ある程度の疑問が解決してしまうのです。
これまでは、役に立つ情報をたくさん掲載していれば、検索エンジンから多くの人が訪問してくれるという考え方がありました。整備工場なら故障の原因や修理方法、中古車販売店なら車種の比較や選び方などの記事を充実させることで、アクセス数を増やすことができたわけです。しかし、こうした一般的な情報ほどAIが回答できるようになったことで、ホームページまで訪問する必要がなくなる場面が出てきました。こうした変化が、ホームページのアクセス数を減らす一因になっています。
一方、アクセス数が減った原因をすべてAIのせいにするのも間違いです。Googleの検索順位が下がったのかもしれませんし、競合するお店が増えたのかもしれません。季節的な需要の変化や、広告の配信状況によってもアクセス数は変わります。したがって、アクセス数が減ったからといって、何でもAIの影響だと決めつけるべきではありません。
あなたのお店のホームページに毎月1,000人が訪問していたとして、その半分が車の故障原因やメンテナンス方法を調べているだけの人だったとしましょう。こうした人たちがAIで疑問を解決するようになり、アクセスが半分に減ったとしても、実際に車検や修理を依頼したい人の数が変わっていなければ、必ずしも商売に悪影響が出るとは限りません。もちろん、情報収集をしている人が将来のお客様になる可能性もあります。しかし、アクセス数が減ったという事実だけを見て慌てるのは、少し違うと思うのです。
反対に、アクセス数はそれほど減っていなくても、実際に問い合わせをしてくれるお客様が減っているのであれば、こちらの方がよほど深刻です。ホームページを訪問する人の数は変わらなくても、競合店と比較されて選ばれなくなっているのかもしれませんし、料金やサービス内容がわかりにくく、問い合わせをためらわれているのかもしれません。
私たちホームページを制作する側も、これまではアクセス数を増やすことを集客対策の中心に置きがちでした。そうすることで、経営者受けが良いので、制作側も都合が良かったのです。
しかし、これからは単純に訪問者を増やすことだけではなく、どのような人が訪問しているのか、その人たちが何を求めているのか、そして実際の仕事につながっているのかを、もっと考える必要があるのです。
AIの普及によって、お客様の情報収集の方法は変わっていきます。しかし、車が故障すれば修理が必要ですし、車検の時期が来れば、どこかのお店に依頼しなければなりません。情報の探し方が変わっても、お客様が抱えている問題までなくなるわけではないのです。
だからこそ、これからのホームページでは、単にアクセス数を取り戻そうとするのではなく、本当に自社を必要としているお客様にどうすれば見つけてもらえるのか、そして、どうすれば選んでもらえるのかを考えるべきなのです。
100人のお客様より10人の見込み客を集めよう
では、どうすれば実際の仕事につながるお客様を集めることができるのでしょうか?
あなたが車検を中心に営業している整備工場の経営者だったとしましょう。Googleで「車検とは何か」と検索している人と、「○○市 車検 予約」と検索している人では、どちらがお客様になる可能性が高いと思いますか?
言うまでもなく、後者でしょう。前者は車検の仕組みを調べているだけかもしれませんが、後者は実際に車検を依頼するお店を探している可能性が高いからです。
中古車販売店でも同じです。「軽自動車 おすすめ」と検索する人は、これから車の購入を検討する段階なのかもしれません。しかし、「N-BOX 中古車 100万円以下 ○○市」と検索している人は、車種も予算もある程度決まっていて、条件に合う車が見つかれば購入したいと考えている可能性があります。つまり、同じ中古車に興味を持っている人でも、購入するまでの距離が違うわけです。
鈑金工場なら、さらにわかりやすいでしょう。「バンパー 傷 消し方」と検索している人は、自分で傷を直したいのかもしれません。一方、「○○市 バンパー 修理 費用」と検索している人は、すでに車に傷がついていて、修理を依頼するために料金を調べている可能性が高いのです。
重要なのは、検索する言葉の違いです。人は何かを調べるとき、自分が知りたいことを検索窓に入力します。そこには、その人が今どんなことで困っているのか、何をしたいと思っているのかが表れています。私たちはこれを「検索意図」などと呼びますが、お客様が何を考えてお店を探しているのかを想像するだけの話なのです。
それでは、こうした見込み客をホームページに集めるには、どうすればよいのでしょうか。
まず大切なのは、お客様が実際に探している情報をきちんとホームページに掲載することです。
車検を依頼したいお客様なら、料金はいくらなのか、何日くらい車を預ける必要があるのか、代車は借りられるのか、土日でも対応してもらえるのか、といったことが気になるでしょう。ところが、整備工場のホームページを見ると、「確かな技術で安心の車検」「お客様第一のサービス」といった言葉は大きく掲載されているのに、肝心の料金や所要時間がよくわからないというケースがあります。
もちろん、技術力やお客様への姿勢を伝えることも大切です。しかし、今まさに車検を依頼するお店を探している人にとっては、抽象的な宣伝文句よりも、自分の疑問に答えてくれる具体的な情報の方が役に立つのではないでしょうか。
中古車販売店であれば、単に在庫車両の写真と価格を掲載するだけでなく、修復歴の有無、車両の状態、保証内容、納車までの流れなどを丁寧に説明することが重要です。例えば、同じ100万円の中古車が2台あったとして、一方は写真が数枚と価格だけ、もう一方は内外装の状態や気になる傷、整備内容まで詳しく掲載されていたとしたら、皆さんはどちらのお店に安心感を持つでしょうか。
鈑金工場の場合も同様です。「小さな傷から大きな事故修理まで対応します」という説明だけでは、お客様は自分の車の傷がいくらくらいで直るのか判断できません。例えば、バンパーの擦り傷、ドアのへこみ、フェンダーの修理など、実際の修理事例を写真付きで紹介し、作業内容や参考価格、修理日数を掲載しておけば、同じような傷で困っている人にとって有益な情報になります。実際の修理費用は損傷の程度によって変わりますが、おおよその目安がわかるだけでも、問い合わせへの心理的なハードルは下がるはずです。
そして、もう一つ考えていただきたいことがあります。それは、自社がどのような仕事を増やしたいのかを、ホームページに反映させているかという点です。
輸入車の整備を得意としている工場なのに、ホームページには「国産車から輸入車まで何でもお任せください」としか書かれていなかったら?これでは、その工場の強みは伝わりません。得意なメーカーや修理内容を明確にすることで、輸入車の修理先を探しているお客様に選んでもらいやすくなるのです。
軽自動車の販売を得意としているお店なら、ファミリー向けのスライドドア付き軽自動車が得意なのか、通勤用の低価格車が中心なのか、それとも未使用車を豊富に取り扱っているのか。こうした特徴を明確にすることで、そのお店を必要としているお客様に選んでもらいやすくなります。
ホームページの集客で大切なのは、できるだけ多くの人に向けて情報を発信することではなく、自社のお客様になってくれる可能性が高い人に、必要な情報をきちんと届けることなのです。
とはいえ、それは、まだ購入や修理を考えていない人に向けた情報が不要だということではありません。今は車を買うつもりがなくても、半年後には買い替えを考えるかもしれませんし、普段から役に立つ整備情報を発信している工場を覚えていて、いざ車が故障したときに相談してくれる人もいるでしょう。こうした将来のお客様との接点をつくることにも、十分な意味があります。
ただし、限られた予算と人員でホームページを運営しているのであれば、何を優先するべきかは考えなければなりません。今すぐ仕事を依頼したい人が必要としている情報が不足しているのに、アクセス数を増やすための記事ばかり書いていても、効率のよい集客とは言えないでしょう。
100人の訪問者を集めることに力を使うより、実際に仕事を依頼したい10人に選んでもらえるホームページをつくる。そのために、まずは自分のお店が得意としている仕事は何なのか、どのようなお客様に来てほしいのか、そして、そのお客様が知りたい情報は何なのかをとことん整理してみてください。
ホームページに掲載する情報を考えるとき、主語を「当社は」から「お客様は」に変えてみるだけでも、見えてくるものがあるはずです。
せっかく来たお客様を逃していませんか?
さて、ホームページにたくさんの人を集めることよりも、実際に仕事を依頼してくれる見込み客を集めることが大切だという話をしてきました。しかし、せっかくあなたのお店に興味を持ってホームページを訪問してくれたお客様が、必ず問い合わせをしてくれるとは限りません。
実は、ホームページの集客で意外と見落とされているのが、この「問い合わせをしようかどうか迷っているお客様」の存在です。
あなたが初めて利用する整備工場に車の修理をお願いしようとしているとしましょう。
ホームページを見て、修理実績も豊富そうだし、技術力もありそうだと感じたとします。ところが、いざ問い合わせをしようと思ったとき、電話番号しか掲載されていなかったらどうでしょうか。
「今は仕事中だから電話できない」「電話したら、そのまま入庫を勧められるかもしれない」「とりあえず費用だけ聞きたいのに、電話するのは少し面倒だな」。そんなことを考えて、問い合わせをやめてしまう人もいるでしょう。
お店側からすれば、電話番号は大きく掲載しているし、営業時間も書いてあるのだから、問い合わせをしたければ電話してくるだろう、と思うかもしれません。しかし、それはあくまであなたの考え方です。お客様にとって、知らないお店に電話をかけるという行為は、私たちが考えている以上に心理的な負担があるものなのです。
特に、スマートフォンで何でも調べられる今の時代、電話をかけずに用事を済ませたいと考える人は少なくありません。LINEで写真を送って修理について相談できる、問い合わせフォームから都合のよい時間に連絡できる、あるいはホームページ上で車検の予約ができる。こうした複数の選択肢があるだけでも、お客様にとっての問い合わせのしやすさは変わってきます。
LINEや予約フォームを設置すれば、それで解決するというわけではありません。鈑金修理の相談をしたいお客様が、ホームページに「LINEで無料相談」という案内を見つけたとします。ところが、そこには何を送ればよいのか、どんな相談ができるのか、いつ頃返事がもらえるのか、といった説明が何も書かれていなかったらどうでしょう。「写真を送るだけでもいいのかな」「見積もりをお願いしたら、必ず修理を頼まなければならないのかな」と迷ってしまうかもしれません。
これが「傷の写真を送るだけで、おおよその修理方法をご案内します」「見積もりだけのご相談も歓迎です」「正式な金額は実車を確認してからご案内します」と書かれていたら、どうでしょうか。お客様は何をすればよいのかがわかりますし、相談したからといって必ず修理を依頼する必要はないのだと安心できます。
このように、問い合わせの方法を用意するだけでなく、お客様が安心して最初の一歩を踏み出せるようにすることが大切です。
また、問い合わせを受けた後の対応についても考える必要があります。せっかくLINEやメールで問い合わせをいただいても、返事が翌日、場合によっては数日後になってしまっていませんか?
車の購入や修理を検討しているお客様は、必ずしも一社だけに問い合わせをしているわけではありません。複数のお店を比較していることもありますから、こちらが返事をする頃には、すでに別のお店に依頼を決めているかもしれません。
もちろん、整備作業や接客で忙しい時間帯に、すべての問い合わせへ即座に対応するのは難しいでしょう。それならば、問い合わせを受け付けたことを自動返信で伝えたり、返信までのおおよその時間を案内したりするだけでも、お客様の不安を減らすことができます。そして、実際に案内した時間内に返答することが大切です。
ホームページの集客というのは、検索結果で上位に表示させたり、広告を出したりすることだけではない、ということです。お客様が興味を持ってホームページを訪問し、内容を確認し、問い合わせをして、最終的に仕事を依頼してくれる。この一連の流れの中で、どこか一か所でもお客様が迷ったり、不安になったり、面倒だと感じたりすれば、せっかくの見込み客を逃してしまう可能性があるのです。
ところが、多くの経営者はアクセス数が減ると、広告費を増やしたり、検索順位を上げる方法を考えたりします。実際にスマートフォンを使って、車検の予約をしようとしてみてください。鈑金修理の見積もりを依頼しようとしてみてください。中古車の在庫確認をしようとしてみてください。
問い合わせをするまでに何回画面を押さなければならないのか、途中で迷うところはないか、入力する項目が多すぎないか。こうしたことを一度確認するだけでも、改善すべきところが見えてくるはずです。
新しいお客様を集めるために広告費を使うことも大切ですが、今すでに訪問してくれているお客様を逃さない工夫も、同じくらい大切です。
ホームページを訪問してくれたお客様は、まだあなたのお店のお客様になったわけではありません。問い合わせという最初の一歩を踏み出してもらって、初めて商売につながる可能性が生まれるのです。その一歩を、お客様任せにしてはいけないと思います。
問い合わせが増えても、売上が増えない理由
果たして、問い合わせが増えれば、本当に売上や利益も増えるのでしょうか?
あなたが経営している整備工場に、ホームページから毎月50件の問い合わせが入るようになったとします。それまでは月に20件程度だったのですから、数字だけを見れば大成功です。ホームページの制作会社からも「問い合わせが2倍以上になりました」と報告されれば、経営者として悪い気はしないでしょう。
ところが、実際に問い合わせの内容を確認してみると、「とにかく一番安く車検を受けたい」「持ち込み部品を工賃だけで取り付けてほしい」「他店で断られた修理を何とか安く直してほしい」といった相談ばかりだったら、どうでしょうか。
もちろん、こうした相談がすべて悪いわけではありません。持ち込み部品の取り付けを得意としている工場もあれば、他店で断られた修理に対応できる技術力の高い工場もあります。問題は、その仕事があなたのお店にとって、積極的に受けたい仕事なのかということです。
持ち込み部品の取り付けを基本的に受け付けていない工場に、その問い合わせが毎日のように入ってきたらどうでしょう。そのたびに電話やメールで事情を説明し、お断りすることになります。問い合わせは増えているのに、売上は増えず、スタッフの仕事だけが増えてしまいます。
中古車販売店でも同じことが言えます。総額100万円前後の良質な中古車を中心に販売しているお店に、「車検付きで20万円の車はないか」「予算は30万円だけど、年式が新しくて走行距離の少ない車が欲しい」という問い合わせばかり集まってきても、なかなか販売にはつながらないでしょう。取り扱っていない商品を求めるお客様をいくら集めても、商売にはつながらないわけです。
お客様から電話があれば、誰かが作業の手を止めて対応しなければなりません。修理の相談なら車両の状態を聞き取り、概算費用を説明し、場合によっては部品価格を調べる必要もあります。中古車の問い合わせなら在庫を確認し、見積書を作成し、ローンや保証について説明することもあるでしょう。
問い合わせが増えれば、それだけ対応する時間も増えます。にもかかわらず、その大半が受注につながらないのであれば、ホームページは集客に成功しているように見えて、実際には現場の生産性を下げている可能性すらあるのです。
私は、ホームページの集客を考えるとき、どのようなお客様を集めたいのかと同じくらい、どのようなお客様を集めたくないのかを考えることも重要だと思っています。
輸入車の重整備を得意とする工場なら、対応できるメーカーや車種、得意とする修理内容などを明確に掲載するべきでしょう。反対に、持ち込み部品の取り付けや違法改造車の整備など、対応しない仕事があるのであれば、そのこともわかりやすく伝えておく必要があります。
鈑金工場であれば、保険修理や事故車の修復を中心に受注したいのか、それとも小さな擦り傷やへこみの修理を数多くこなしたいのかによって、ホームページで紹介する施工事例や打ち出すサービスは変わってくるはずです。高額な事故修理を得意としている工場が、安価な小傷修理ばかりを宣伝していたら、本来集めたい仕事とは違う問い合わせが増えてしまうかもしれません。
これは、お客様を選り好みしなさいという話ではありません。自社の設備や技術、人員、経営方針に合った仕事を、適切に受注できるようにするということです。
そもそも、限られた人数で営業している整備工場では、受け入れられる仕事の量にも限界があります。リフトの台数も、整備士の人数も、一日に作業できる時間も決まっています。すでに工場が忙しく回っているのであれば、単純に入庫台数を増やすことよりも、どのような仕事を受けるべきかを考えた方が、経営にとってプラスになる場合もあるでしょう。
作業時間が同じ2時間でも、使用する部品や必要な設備、技術料などによって得られる利益は違います。入庫台数が多くても利益が残らない工場がある一方で、台数はそれほど多くなくても、得意分野の仕事を適正な価格で受注することで、しっかり利益を確保している工場もあります。
もちろん、利益率の高い仕事だけを追いかければよいという単純な話ではありません。日常的なオイル交換や点検などが、お客様との長いお付き合いにつながることもありますし、初めての小さな修理が、その後の車検や買い替えの相談につながることもあります。大切なのは、一件一件の売上だけでなく、その仕事が自社の経営にどのような意味を持つのかを考えることなのです。
ところが、ホームページを制作する段階で、ここまで考えている経営者は意外と少ないのです。
「とにかく問い合わせを増やしてほしい」「新規のお客様をもっと集めたい」という要望はよく聞きます。しかし、「どの仕事を増やしたいのですか?」「どんな問い合わせは減らしたいのですか?」と質問すると、明確な答えが返ってこないこともあります。
ここがホームページ集客の大きな落とし穴なのです。
ホームページは、どのような仕事を集めるのかによって、掲載する情報も、使う写真も、広告で狙う言葉も変わってきます。経営者自身が集めたい仕事を明確にしていなければ、ホームページの制作会社も、結局は「車検なら何でもお任せください」「どんな修理でもお気軽にご相談ください」といった、ありきたりな内容にするしかありません。その結果、問い合わせは増えたけれど、欲しい仕事は増えていないということが起こるのです。
まずは直近数か月の問い合わせから振り返ってみてください。何件問い合わせがあったのかだけではなく、実際に何件が受注につながったのか、どのような仕事が多かったのか、断った問い合わせは何件あったのか。そして、その中で自社にとって利益につながる仕事がどのくらいあったのかを確認してみるのです。
そうすれば、今のホームページが本当に欲しい仕事を集められているのか、それとも単純に問い合わせを集めているだけなのかが、見えてくるはずです。
アクセス数を増やすことも、問い合わせを増やすことも、あくまで手段です。経営者が目指すべきなのは、その先にある売上や利益を増やし、お店を安定して経営できるようにすることではないでしょうか。
だからこそ私は、ホームページの集客を考える前に、まず自社がどのような仕事を増やしたいのかを、経営者自身が明確にするべきだと思うのです。
今あるホームページを、売上につながるホームページに変える方法
ホームページの集客を改善するために、必ずしもホームページ全体を作り直す必要はありません。今あるホームページの見せ方や情報の並べ方、問い合わせまでの流れを少し変えるだけでも、成果が変わってくる可能性があります。では、具体的にどこを見直せばよいのでしょうか。
まず確認したいのは、ホームページを開いたとき、最初に何が表示されるかということです。整備工場のホームページを開くと、大きな店舗の写真とともに「地域に愛されて創業50年」「安心と信頼のカーライフサポート」といった言葉が表示されることがあります。もちろん、長年地域で営業してきたことは立派な実績ですし、お客様に安心感を与える要素にもなるでしょう。しかし、それだけで初めてホームページを訪問したお客様に、自社が何を得意としているお店なのか伝わるでしょうか。
輸入車の修理を得意としているのであれば、「BMW・ベンツの故障診断、修理に対応」と具体的に伝えた方が、輸入車の故障で困っているお客様には響くはずです。車検を中心に営業しているのであれば、車検の料金や予約方法をわかりやすく案内するべきでしょう。
大切なのは、ホームページを開いて最初に目に入る場所で、「このお店は自分の困りごとを解決してくれそうだ」と感じてもらうことです。
次に見直していただきたいのが、ホームページの中にある、それぞれのサービスを紹介するページです。
整備工場のホームページであれば、車検、一般整備、故障修理、鈑金塗装といったサービスが並んでいることが多いでしょう。ところが、それぞれのページを開いてみると、簡単な説明と写真が数枚掲載されているだけで、詳しいことは「お気軽にお問い合わせください」となっているケースがあります。
私は、これでは少々もったいないと思うのです。
例えば、車検のページなら、料金や作業の流れ、予約方法など、お客様が知りたい情報をわかりやすい順番に整理する。輸入車修理のページなら、対応メーカーや得意な修理内容を最初に伝え、その後に実際の修理事例を紹介する。中古車販売店なら、在庫一覧を見せるだけでなく、自社の仕入れ基準や納車前整備など、安心して購入してもらうための情報を整理して伝えるべきでしょう。
そして、こうしたサービスページと同じくらい重要なのが、実際の作業事例です。
ある整備工場のホームページに「BMWのエンジン修理に対応しています」と書かれていたとします。しかし、それだけでは本当にその修理が得意なのか、お客様には判断できません。そこで、実際に入庫した車両について、どのような症状があり、何が原因で、どんな修理を行ったのかを写真付きで紹介するのです。
大切なのは、整備士同士でしか理解できないような専門的な説明を並べることではありません。お客様が知りたいのは、難しい故障診断の理論よりも、「自分の車と同じような症状を、このお店は直したことがあるのか」ということです。
修理にかかった日数や費用の目安、修理後の状態なども紹介できれば、より具体的な判断材料になります。実際の作業事例は、単に検索エンジンからアクセスを集めるための記事ではありません。そのお店の技術力や経験を、お客様に伝えるための営業資料でもあるわけです。
ホームページの改善で大切なのは、見た目を新しくすることではなく、今どこに問題があって、何を変えれば仕事につながりやすくなるのかを考えることです。ホームページは、一度制作して公開すれば完成というものではありません。お客様の反応を見ながら、少しずつ育てていくものです。
あなたのお店のホームページにも、まだ改善できるところがあるはずです。アクセス数が減ったからといって、慌てて広告費を増やしたり、ホームページを作り直したりする必要はありません。大切なのは、何人が見に来たかではなく、誰が見に来て、どのような仕事につながったのかということです。
ホームページは、アクセス数を増やすためにあるのではありません。あなたのお店の商売を繁盛させるためにあるのです。その本来の目的を忘れずに、今あるホームページを一度じっくり見直してみてはいかがでしょうか。

