ホームページリニューアルに絶対書かなければならないことは?
私がホームページのリニューアル相談をいただく際、「デザインを新しくしたい」「導入した設備をアピールしたい」「新しいサービスを掲載したい」といったご要望をいただくことがあります。
「デザイン」というものは、ホームページを改善するうえで大切な要素です。新しい工場を建てたとか、新しい機械を導入したのでアピールしたいといった要望も多くあります。このようなアピールをしたいお店側の要望は理解できます。
しかし、リニューアル後に成果が出るホームページと、見た目だけが新しくなったホームページには、決定的な違いがあります。私はこれまで多くの中古車販売店や整備工場のホームページ制作に携わってきましたが、成果が出ている会社のホームページには共通点があります。それは、サービスや設備の説明を重視しているホームページではなく、【お客さんが来店前に感じる不安】を解消する情報がしっかりと掲載されているホームページが、成果が出る、ということです。
今号では、中古車販売店や整備工場が、自社ホームページをリニューアルする際にどのような情報を掲載すれば良いのかについて、考えてみたいと思います。
お客さんはHPでサービスを探しているのではなく、会社を調べている
HPをリニューアルする際、多くの経営者がまず考えるのは「どんなデザインにするのか」や、「どのサービス(車検点検などのサービス)を掲載するか」「どの設備を紹介するか」ということです。もちろんそれらも大切な情報ですが、お客さんがHPを訪れたときに最も気にしていることは、あなたの考えとは別のところにあります。
私たちは普段から車に関わる仕事をしているため、つい自分のサービス内容や設備などを伝えることに意識が向きがちです。お客さんの多くは「どんなサービスを行っている会社なのか」よりも先に、「どんな会社なのか」を確認したいと考えています。
HPに載せたい情報とお客さんが知りたい情報は違う
よくある整備工場や中古車販売店のHPを見ると、最新設備の紹介や、車検・点検などのサービス内容、取得した資格、工場の設備などが掲載されていることがあります。例えば、最新の故障診断機やアライメントテスター、塗装ブースなど、自社の技術力や対応力をアピールする内容が詳しく掲載されているケースです。
もちろん、それらは会社の強みであり、大切な情報ですが、初めて車検や修理を依頼するお客さんは「診断機を導入しています」と書かれていることだけで、その工場を選ぶでしょうか?
それよりも、「この会社は信頼できそうか」「どんな志で仕事をしているのか」「自分の話をきちんと聞いてくれそうか」「初めてでも相談しやすそうか」といったことを知りたいと考えています。つまり、お客さんがHPで確認しているのは、設備やサービスそのものではなく、その会社が安心して任せられる相手かどうかなのです。
HPを見てもらいたい側が伝えたいことと、お客さんが知りたいことは必ずしも一致しているわけでは無いのです。だからこそ、HPを見直す際には、自分たちが伝えたい情報だけではなく、お客さんが知りたい情報が十分に掲載されているかという視点を持つことがとても大切です。
お客さんが最初に確認しているのは、
あなたの会社は「どんな会社か」?
お客さんが初めて整備工場や中古車販売店を利用する際、最も不安に感じるのは「この会社に任せて大丈夫だろうか」ということです。これにつきます。私たちは日々当たり前のように車に携わっていますが、お客さんにとって車の修理や車検は専門的な内容が多く、何が適正で何が正しいのかを判断することは簡単ではありません。
そのためお客さんは、サービス内容や料金を確認する前に、その会社がどのような考え方で仕事をしているのか、どのような人が対応してくれるのかを知ろうとします。会社概要や代表者のあいさつ、スタッフ紹介などのページや、修理事例などの事例ページが意外とよく見られているのはそのためです。お客さんはその中から、あなたの会社の人となりや信頼度を測ろうとするわけです。
特に地域密着型の整備工場や中古車販売店の場合、お客さんが選んでいるのはサービスそのものではなく「これから長く付き合える会社かどうか」「信用のおけるお店かどうか」です。どれだけ立派な設備や豊富なサービスを掲載していても、会社の雰囲気や人柄が伝わらなければ、お客さんの不安を解消することはできません。
実際、私も中古車販売店や整備工場のホームページ制作をお手伝いする際には、まず設備やサービス内容をどのように見せるかよりも、経営者の考え方や会社の理念、地域のお客さんに対する姿勢をどのように分かりやすくホームページ上で伝えるかを考えます。
お客さんがホームページで確認したいことは、設備の性能やサービスの違いではなく、「この会社は信頼できる会社なのか」ということだからです。どれだけ立派な設備を導入していても、どれだけ多くのサービスを提供していても、会社の考え方や人柄が伝わらなければ、お客さんは安心して問い合わせをすることができません。
HPは、飲食店のメニュー表のようにサービスや価格を紹介するためだけのものではなく、会社の考え方や人柄を伝えるためのものでもあります。まずはお客さんに「どんな会社なのか」を知ってもらうことが、問い合わせや来店につながる第一歩なのです。
スタッフ紹介や日常の発信が安心感につながる
HPに会社の考え方や人柄を伝える方法はさまざまありますが、その中でも特に効果的なのがスタッフ紹介や日常の情報発信です。
HPにスタッフ紹介のページを設けている会社がありますが、「名前」「役職」「資格」などのプロフィールだけが掲載されているケースがあります。しかし、お客さんが知りたいのは資格や肩書きでしょうか?どのような人が働いているのか、どのような想いで仕事に取り組んでいるのか、どんな雰囲気の会社なのかを知りたいはずです。
修理事例や納車の様子、地域活動への参加、スタッフの日常などを発信している会社は、お客さんに親近感を持ってもらいやすくなります。整備工場や中古車販売店にとって当たり前の日常でも、お客さんにとっては会社の雰囲気を知ることができる貴重な情報なのです。
実際にHPやSNSからお問い合わせいただいたお客様に話を聞くと、「スタッフの顔が見えて安心した」「ブログを見て相談しやすそうだと思った」という声をいただくことが多くあります。お客さんはサービスや価格を比較しているようでいて、実際には「どんな人が対応してくれるのか」を重要視している、というわけです。
設備やサービス内容は他社のHPにも同じょうな設備は掲載されていますが、スタッフの人柄や会社の雰囲気は、その会社にしかない大切な強みです。だからこそHPには、サービス情報や設備の自慢だけでなく、人柄が見える情報を積極的に掲載することが重要なのです。
自社の強みを言葉にするのは意外と難しい
しかし実際には、このスタッフの人柄や会社の雰囲気をホームページで伝えることは簡単ではありません。HP制作の打ち合わせをしていると、「うちの強みは何でしょうか?」「どのように伝えれば良いのでしょうか?」というご相談をいただきます。また、自社の強みや特徴を改めて言葉にすることは、想像以上に難しい作業です。毎日当たり前に行っていることほど、自分たちでは価値に気づきにくいためです。
その結果、伝えるべき内容を言語化することができず、結果的に設備紹介やサービス説明だけのHPになってしまうケースが多々あります。しかし、お客さんが知りたいのは設備の性能だけではなく、「どんな人たちが働いているのか」「どんな想いで仕事をしているのか」という部分です。
だからこそ、自社の強みや特徴を改めて整理し、言葉にして伝える作業が重要になります。ホームページ制作とは、単にデザインを作ることではなく、自社の魅力を再発見する作業でもあるのです。つまり、HP制作というものは、自社の理念や価値観、強みや特徴を改めて整理し、「なぜうちはお客さまに選ばれているのか」を見つめ直す作業でもあります。
そのため、ホームページのリニューアルは想像以上に時間と労力がかかります。しかし、この工程を省いてしまうと、どこにでもあるようなホームページになってしまいます。これが、手を抜いたホームページ制作というものです。
理念や強みは経営者だけが知っていても伝わらない
HP制作の打ち合わせをしていると、長年経営されている社長ほど、会社の理念やお客さんに対する想いを持たれています。しかし、その想いがお客さんに伝わっているとは限りません。社長の頭の中には「なぜこの仕事をしているのか」「どんなお客さんに喜んでもらいたいのか」「どのような接客を大切にしているのか」といった考えがしっかり存在しています。しかし、それがホームページにわかりやすく正しく掲載されていなければ、お客さんが知ることはできません。あなたがどれだけ誠意を持って仕事をしていても、それが伝わっていなければ、お客さんは「本当に安心して任せられるお店なのだろうか」と不安に感じてしまうのです。
実際、多くのHPでは、会社の理念や特徴がお客様に伝わる形で整理されておらず、経営者の頭の中だけに存在しているケースが少なくありません。HPリニューアルで大切なのは、新しいデザインに変更することではなく、これまで言葉にしてこなかった会社の魅力をお客様に伝わる形に整理することなのです。
どれだけ素晴らしい理念や強みを持っていても、お客さんに伝わらなければ存在しないのと同じ。だからこそ、HPは会社の考え方を発信する重要なツールなのです。
ホームページには何を掲載すれば良いのか?
ここまで読んで、「理念や会社の特徴を伝えることが大切なのは分かった。でも具体的には何を掲載すれば良いのだろう」と感じた方もいらっしゃることでしょう。
例えば、創業したきっかけや会社の歴史、どのようなお客さんに喜んでもらいたいのか、仕事をするうえで大切にしていることなども立派なコンテンツです。また、スタッフ紹介や日常の様子、お客様とのエピソードなども、その会社らしさを伝える大切な情報になります。
HP制作の打ち合わせをしていると、「そんな内容を自社のHPに載せても良いの?」と質問されることがあります。しかし、お客さんが知りたいのはサービス内容だけではありません。どのような人たちが働いていて、どのような考え方で仕事に取り組んでいるのかを知りたいと思っています。
設備やサービスは競合他社も掲載することができます。しかし、創業の想いや会社の理念、スタッフの人柄、お客様への姿勢は、あなたの会社にしかないオリジナルなコンテンツなのです。だからこそホームページでは、サービスを説明するだけではなく、「私たちはどのような会社なのか」を伝えることが大切なのです。
HPは自社に合うお客さんと出会うためのツール
HPをリニューアルする目的を、「問い合わせを増やすこと」や「来店客を増やすこと」だけだと考えてしまうと、大切なことを見失います。もちろんHPは集客のための重要なツールです。しかし、本来の役割は単純に多くのお客様を集めることではありません。
初めて来店されたお客さんに対して、自社の考え方や接客方針、仕事へのこだわりを一生懸命説明している経営者の方は少なくありません。しかし、お客さんが来店してから会社の良さを理解してもらうには限界があります。
一方で、HPにはその会社の理念や価値観、スタッフの人柄、仕事に対する考え方を事前に伝えられるという大きな強みがあります。HPを見て問い合わせをしてくるお客様は、すでにその会社の考え方や雰囲気に触れています。そのため、来店前から一定の信頼関係ができており、商談や相談もスムーズに進みやすくなります。
つまりHPとは、できるだけ多くのお客様を集めるためだけのものではありません。自社の考え方や価値観を発信し、それに共感してくれるお客様と出会うためのツールなのです。
HPリニューアルや新規制作を考える際には、「どんなデザインにするか」「どんなサービスを掲載するか」だけではなく、「私たちは何を大切にしている会社なのか」を改めて整理してみてください。その想いがしっかり伝わるHPになれば、来店後に会社の良さを説明する必要はありません。HPを見て共感したお客様が、自ら相談に来てくれるようになるのです。
HPをリニューアルする際は、まずデザインや機能を考える前に、「自社はどのような会社なのか」「なぜお客さんに選ばれているのか」を整理してみてください。その答えこそがHPで最も伝えるべき情報なのです。
毎日仕事をしていると、自分たちにとって当たり前のことが、お客さんにとって価値のあることだとなかなか気付けないものです。そのため、経営者一人で自社の特徴や強みを整理することは意外と難しく、多くの会社が途中で手が止まってしまいます。
最近ではAIを活用してHPの文章を作ることもできるようになりました。実際に私自身も日常的にAIを活用していますし、今後HP制作においてもAIの活用はますます進んでいくと思います。
しかし、AIは魔法の道具ではありません。
例えば、「整備工場のHPを作ってください」「中古車販売店のHPを作ってください」と依頼すれば、それらしい文章は作ってくれます。しかし、その内容は多くの場合、どこの会社にも当てはまる一般的な内容になります。なぜなら、AIはその会社の創業時の想いや、お客様に対する考え方、地域との関わり、経営者の価値観までは知ることができないからです。AIは文章を作ることは得意ですが、「その会社らしさ」を発見することはできません。
本当に差別化されたホームページを作るためには、まず経営者自身が「自社はどのような会社なのか」「なぜ自社がお客さまに選ばれているのか」「何を大切にしているのか」を整理する必要があります。その考えが明確になって初めて、AIもホームページ制作会社も力を発揮することができます。
だからこそ、HP制作会社を選ぶ際には、単にデザインを作る会社ではなく、自社の理念や強みを一緒に整理し、言葉にすることを手伝ってくれる会社を選ぶことが大切です。
もし今、「あなたの会社の強みは何ですか?」「なぜあなたの会社はお客さまに選ばれているのですか?」と聞かれたときに、すぐ答えられるでしょうか。HPのリニューアルを考える際は、まずデザインや機能のことを考える前に、自社の理念や価値観、お客さんとの約束事を書き出すところから始めましょう。その答えこそが、ホームページで最も伝えるべき情報であり、ホームページリニューアルの第一歩です。
次のHPでは、ぜひデザインや機能だけではなく、あなたの会社の理念や価値観、そしてお客様に選ばれている理由を伝えることに力を入れてみてください。
その想いが伝わるホームページこそが、長期的にあなたの会社を支えてくれる資産になるはずです。

