時流に乗らず身の丈にあったところからスタートする
時流に乗るな
レンタカーを始めてみたい自動車販売店経営者の相談に乗っていると、皆さんが考えている事は大体同じようなパターンが多いことに気づかされます。ここ最近よくあるご相談は、沖縄でレンタカーをやりたい(笑)というパターンと、レンタカーではなく流行りのカーシェアリングに参戦したい、と言うパターンが多いような気がします。
良くある質問:沖縄でレンタカーやりたい
よくあるパターンです。お話を伺うと、自分の自動車販売店や整備工場が一応上手く回っているので、旅行でよく行く沖縄でレンタカービジネスでもやりながらしばらく向こうに滞在しちゃおうみたいな感じです。
「沖縄っていまレンタカーが少ないって聞くし、新しいアミューズメントも計画されているし、沖縄でレンタカーでもやるかな」
みたいな、そんな感じです。
もしかしたら、あなたも一度は考えたことがあるかもしれません。
そんな私も、もし余裕があれば沖縄に事務所でも作ってのんびりビーチを見ながら原稿でも書いてみたいなと思ったりするわけです。
で、実際に沖縄でレンタカーをやろうと思ったあなたは、ちょっと調べてもらえればわかりますが、いま沖縄では毎月多くの会社が陸運局にレンタカー登録の申請をしています。実際に調べたわけではないので確証はありませんが、おそらく日本で1番レンタカー会社の登録割合が多いのは沖縄県なのではないかと思います。多くの会社が沖縄でレンタカー登録を行っているのです。
調べてみると、確かに沖縄ではレンタカーが不足していると言う事実もありますが、これはコロナ騒動で一時的に大手レンタカー会社が台数を絞った結果、一時的に需給のバランスが崩れているだけであって、今から何のコネも資金力も無い他府県の自動車販売店が沖縄でレンタカービジネスを立ち上げたからといって、戦略戦術で勝てる見込みがないと多くの会社に埋もれてしまって難しくなっていくのは間違いありません。
確かにレンタカービジネスは参入障壁も低くかんたんにスタートできるビジネスなのですが、沖縄に限らず誰もが思いつく人気のエリアでは既にもっと頭の良い資金力のある大規模な会社が準備をしてスタートしていますので、なかなか勝てる見込みはありません。沖縄に旅行に行きたい。滞在して遊びたいのであれば、旅行止まりにしておいたほうが良いと思います。明らかな戦略があり、確実に勝つ見込みはないと、なかなか難しいのではないかと思います。いまから沖縄でレンタカーを始めたいという人は、よ〜く考えて始められると良いのではないかと思います。
良くある質問:今はカーシェアリング
沖縄でレンタカーやりたい人の次に多い良くある質問が、カーシェアリングを始めたい、と言うパターンです。レンタカーはクルマを貸したり返したりと手間がとてもかかるので、いわゆるカーシェアリングのビジネスをスタートして、クルマのキーは車内に入れてスマホで解除してもらい、時間単位でクルマ貸すカーシェアサービスをやりたいという人も多くいます。
レンタカーと違ってカーシェアリングの方が時流に乗っており、流行りのサービスのように思われます。これもまた実際にスタートしてみるとわかりますが、多くの問題を抱えています。クルマの鍵の引き渡しが面倒だからと、非接触型のサービスを導入して、支払いはウェブサイトで既に決済を済ませてもらい、人の手を介さずにスマートにクルマを貸したいというわけです。
レンタカーではなく、無人のカーシェアリングビジネスをスタートしようと思うと、そのシステムに過大な金額の投資と毎月それなりのランニングコストがかかるようになります。そしてあなたが30分クルマを貸したことによる売り上げは所詮数百円からで、まったく売り上げにはつながりません。
カーシェアリングのように10分単位でクルマを貸した方が多くの人が借りてもらえるのではないかと私のところに相談する人がいるのですが、実際には全く逆で、12時間24時間単位でクルマを貸すのに比べると、10分で用事を済ませて帰ってきてしまう人が本当にいるのです。
東京や大阪など大都市にあるレンタサイクルなども同様なのですが、時間単位で自転車を貸すと用事だけ済ましてさっさと返してしまうので、全く売り上げにつながりません。たまにしかクルマに乗らない人が10分や20分だけクルマを使い数百円の精算をされても、とてもじゃありませんが売り上げにはならないのです。これを我々のような小規模零細規模の会社でやろうと思っても、採算ベースに乗らないのです。
レンタカービジネスをスタートするよりカーシェアリングビジネスをスタートした方がかっこいいし、今の時代に合っているので、多くの人が借りてもらえると思うと思いますが、実際はレンタルの実働時間は短くなり売り上げになりません。そして鍵を車の中に入れて自動で解除するのにクソ高い仕組みを導入しなければなりませんので、コストもめちゃくちゃかかります。採算合いません。
時流に乗るな
ということで、沖縄でカーシェアリング事業を小規模事業者がやろうと思っても100%大手に勝てません。断言します。100%勝てないのです。
そんな今風なビジネスを考えるより、自分の会社の駐車場に「わナンバー」のレンタカーを置き、のぼりを立てて近所の人に借りてもらいましょう。スマホでドアロックを解除させるなてんことを考えずに、会社のポストにでも入れといて、暗証番号で開けてもらい、帰ってきたらポストに放り投げて返却させれば良いのです。わざわざ非接触型の機械と連動したすごい仕組みなど導入する必要もありません。クルマの鍵なんて会社のポストで充分なのです。
まずはできるだけお金をかけずに、ただクルマを貸すことだけをシンプルに考えること、そこからスタートして欲しいと思います。調べれば調べるほど、勉強すれば勉強するほど、それらしいシステムが見つかります。それを導入したくなる気持ちは良くわかりますが、大体コスト負けします。
レンタカービジネスをスタートする場合、お金を兼ねずにシンプルに始めることです。
クルマはお店の前に置き、段ボールに金額を書いて貼り出しておけば良いのです。そこからスタートしましょう。本当にこれで近所の人が借りてくれるのが、地域レンタカーの面白いところなのです。さすがに段ボールはちょっと・・というのであれば、こんなサービスもあります。ちょっと見栄えを良くしたいと思うので、あればノボリ旗を買ったりしても良いかもしれません。とってもかっこよくなります。
台数が増えてきて貸し出しや返却の手間が増えてくると、ついすごいシステムを導入したくなると思います。鍵を車内に置いて、決済はウェブで行い、人の手を介在しなくても貸し借りができるようになったら楽だなぁと思ってしまうのですが、車の鍵などポストに入れといて貸すこともできますし、返却が終わったら会社のポストにぶん投げてもらえればそれで終わります。決済についても同様で、ウェブに決済システムを導入すればそれなりのコストがかかります。レンタカービジネスはお金をかけずに小さくスタートして、本当に実績がついてきたときに次のステップを考えると良いんじゃないかなと思います。
さらに言うと、レンタカーで大儲けしようと考えること自体は間違いです。小さくスタートして地域のお客さんを少しでも増やし、本業の支えにして欲しいと思うのです。そういったレンタカービジネスのスタートは失敗しません。結果、地域の顧客が増え、車検や車販などあなたの本業のビジネスに寄与するはずです。
つまらない話だと思いましたか?
そのつまらないことが重要で、時流に流されずに身の丈にあったところからスタートして欲しいと思います。