イーゼルを使って展示車両を売った話

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では、実際に東京のある店舗で行っている方法を紹介しましょう。“クルマの価値”を販売した結果、1円もかからず売り上げアップを行った簡単な方法の紹介をいたします。ぜひあなたのお店でも手法を変えて取り入れて頂きたいと思います。

そのお店は2車線道路のちょうど交差点の角にお店を構えていました。一般的には良いといわれる立地条件ですね。お店は、交差点に向けてL字型に車両を並べ、おすすめ車両を展示していたのですが、なかなかクルマを見て来店してくれるお客がいませんでした。その中古車販売店の社長T氏は、自分が販売しているクルマには自信をお持ちになっていらっしゃいました。社長いわく「クルマもそれなりに売れ筋を揃えており、立地も比較的恵まれている。しかしなかなか来店数が伸びない。そこで、お金をかけずになんとか来店数をアップしていきたい。ホームページを作って販売台数を増やしたい!」とのこと。この中古車販売店さんの相談が私の所に持ち込まれました。

 

私はインターネット使ってクルマを販売するお手伝いや、お店へのネット環境構築のアドバイス・売れる中古車販売店のホームページ製作が専門です。しかしこれはホームページ云々の問題ではなくお店のトータルコンサルティングをしなければならない案件だと思いました。ITによる情報販売で台数を伸ばすのではなく、経営姿勢や営業方針にアドバイスが必要だと感じたのです。まず最初に、お店にインターネット環境を構築する前にある方法を試してみる事にしました。私は社長T氏に、「ITの環境整備の前にコストをかけずに台数を伸ばす事をやってみませんか?」と提案してみました。試してみた方法はすごく簡単な方法です。『感情表現中古車販売法』を実店舗に応用してみる事にしました。

このお店は、交差点の角地にクルマを展示しているので、道路を走っていて赤信号で停止している運転手や同乗車および歩行者の人達がターゲットです。そのお店は、今までも道路を走っている人に向けて展示車をアピールしていたのですが、なかなかうまくいっていませんでした。そこで私は、社長T氏とお客の気持ち(実際にはお客予備軍である道路を通過するドライバー)の気持ちになって道路を走り、お店のイメージ確認したところ、以下のような事に気づきました。実際に自分達が思っていたほど、展示車は自分たち(クルマのこと)をアピールしていませんでした。信号待ちの時に、道路脇に中古車屋があったら買う買わないは別としてとりあえずみんな車内から眺めていませんか?

「どんなクルマがいくらなのかな~」とか、
「このお店はどんな雰囲気の店かな~」とか、
「なんかココ怪しそうだな~~」とか・・・。
無意識にでもそのようなことを考えると思います。もしその時に、クルマ自らが語りかけたらどうでしょうか?クルマ自身がしゃべってくれればみんなもっと興味をもってくれるのに!

 

そこで私たちは何をやったか?クルマに自らしゃべってもらう事にしました。中古車販売店の展示車は通常道路側に向けて並べていますが、その脇にイーゼルを買ってきて置きました。イーゼルってわかります?絵画なんかを立てかけるヤツですね!それに黒板を立てかけて、ピンク・黄色・白のチョークで文章を書きます。街中で見かけたことがありますよね!そうです。レストランや居酒屋の玄関に置いてあるアレです。看板です。一台一台にキャッチコピーを書いてアピールする事にしました。飲食店では、今日のおすすめセットが買いてあったり「今朝○○漁港で上がった新鮮なお魚です!」・・などと書いてありますし、お花屋さんでは、自店の紹介だったり「今週は母の日です!花束を贈りましょう!」などと書いて一生懸命提案していますよね。これを実際に中古車販売に使ってみました。イーゼルに書かれたお客のターゲットは、信号待ち車両のドライバー達と通りがかりの歩行者へのアピールです。T社長はそんな方法が通用するのか少し心配していましたが、私には数ヵ月後に違う形で来店数が増える事がわかっていましたのでそのまま続行しました。そのイーゼルに書く内容というのは、もちろん単なる車両データなどではありません。そんなものは書かせません。

 

例えばこのようなことを書きます。

「このセルシオに乗れば、他のドライバーに幅寄せされる事はありません!購入後1ヶ月以内に幅寄せられたら幅寄せ回数×1万円をキャッシュバック!」
「このフロントグリルをよ~く見てくださいネ!何かに似てませんか?こんなにカワイイキャロルなら、運転しているあなたもさらに可愛くみえま~す!」
などと、随時こんな感じで、クルマが入庫するたびに社員全員で頭をひねって文面を考えるわけです。そのコメントには、こうあるべきという正解はありません。ワゴン車のラゲッジスペースの説明をするのに、ある男性のセールス担当は、「趣味のダイビング機材がラクラク積めて、シートがレザーなので多少ぬれても平気です!!このクルマなら、気にせず楽しく海に行けますよ!実は僕も欲しいんです!もし来月売れなければボーナスで僕が買っちゃいます!」などと、「信号待ちの運転手みんなスキューバが趣味じゃないだろ!それにお前が購入してどうするんだ!!」と突っ込みたくなるような内容を書くのですが、これでいいんです。

 

その説明文を読んでそれぞれの人が、自分の趣味や自分が積む必要のある荷物に置き換えて想像してくれます。釣りが趣味の人は、「自分の釣り道具が載るかな~」と。それに、販売している営業マン自らが「来月買います」って宣言しているクルマ車なんて、どれほど程度が良いクルマなのだろうかと興味ありませんか?終始このような感じで、展示車両に説明文章をつけて展示車の斜め前の道路脇においておきました。すると、運転手や同乗車の人が読んでくれること読んでくれること!通りすがりの歩行者も、足を止めて一台一台説文を丹念に読んでくれています。信号が代わっても発進しない車が沢山いました!
そのドライバーや歩行者の姿を見て、従業員も展示しているクルマたちが自らアピールしている事に気づいてくれました。するとお店の雰囲気がガラっと変わりました。お店にとても活気が出ました。人も・店も・場所も代わっていないのに・・です。

 

そして成果は翌々月にあらわれました。先ほど紹介した文面で、展示していたキャロルが売れたのです!お客さんからの下取りで展示していたピンクのキャロルなのですが、このクルマの説明トークは事務員の女の子が担当しました。フロントグリルの形が何かに似ているとか、よ~くみるととてもカワイイ!とか、とにかく「このクルマは愛らしいのよ」・・というのを表現していました。それをたまたま通りがかった母親が、自宅で自分の娘に話したそうなんです。「こんなクルマが売っていたわよ!」と。その話を聞いた彼女が、その週末にお父さんを連れてお店の前を歩いて見に来て、「ピンクでカワイイ~!」となってその場でお買い上げ!(実話です)「ピンクのキャロルは意外とカワイイんですよ!」と提案した結果、お客は自分の家でお母さんが「ピンクのキャロルって意外とカワイイんだ~」と気づいたのです。

お店が何も提案をしなければ、何の変哲もないキャロルはこのお客さんに気づかれる事はなかったはず。(現にこのお父さんは娘にワゴンRを乗らせるつもりだったそうです。)それが、事務員さんの考えたコメントを読んだ歩行者のおばさん(実はただ歩いていただけなのでお客ではなかったのですが。)が、お客(自分の娘)を呼び込んでくれたんですね。そして契約。この間にかかった経費はゼロ。イーゼルを使った展示は、さらに別の効果も生み出しました。その地域周辺で口コミによってお店の噂が広がったことなのです。
「こんな案内版を出してるお店があるのよ」
「どこそこの交差点に、オマエ向きのクルマが売っていたよ!」
「あのクルマは業者でも人気のクルマをセリで買い付けしたらしいぞ!そう書いてあったよ。」

など、口コミ効果によってイーゼル案内板の効果が波及して全てが良い方向に向かい始めました。その後、お店の活気も上がり、それは信号待ちでも雰囲気で分かる程でした。
T氏は、現在でもカンバン作戦は続けていて、営業マンとお客とのファーストコンタクトにも一役買っているそうです。

 

ヒントは街中にいくつでも転がっています。レストランの入り口のイーゼルを今度読んでみてください。自分の店のクルマだったらどんなことを書いてみますか?

もっと広い視野でマーケットを眺めて見ましょう!思わぬヒントを見つけられます。

 

   

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