ヤフオクでクルマを売った話2

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当時私は、インターネットの物販で成功していた各業界の方の意見を総合して、「このようなアプローチならば高額商品でも売れるのではないだろうか?」という手法を、友人のデミオで試す事にしました。

 

もちろんその方法というのは、「オークション終了日を週末にしよう!」とか、「1円スタートにして、入札額を増やそう!」とかいう類のものではありません。私はまず、当時ヤフーに買収された直後だった“ヤフージオシティーズ”というサービスを使って、無料のディスクスペースをレンタルしました。これはヤフージャパンのIDを持っていれば誰でも取得出来る無料のホームページスペースです。私は自分ですでに独自ドメインを取得してホームページも持っていたのですが、あえてそこを利用せずに同じヤフーグループがサービスをしていたジオシティーズにスペースを確保しました。
ヤフーオークションの出品ページからリンクさせるつもりだったので、聞いたことのない私のドメインへリンクさせるよりか、同じヤフーグループにリンク先を用意した方が見ている人の抵抗が少ないだろうと考えたのです。私はこの無料のホームページスペースで”このデミオだけ“の紹介ページを作る事にしました。そこでは写真はほとんど掲載せずに、すべて文章で友人のデミオの説明を延々と記載しました。

 

それはまるでデミオの運転日記のようでした。

・このデミオが友人の奥さんの手に渡った理由
・奥さんの自宅にデミオが納車されたときの感動や喜び。
・デミオと出かけた所やそのときの思い出。
・ドライブ中で出くわしたトラブルやその時の感想。
・オイル交換などの整備や当時の走行距離や日時の記載。
・買い物に行った時に電柱にブツけてしまった話しやその時の修理金額。
・仕事先で出会った彼氏と出かけた場所や想い出。
・その彼氏との結婚が決まって手放さなくてはならなくなったこと。
・とても愛着がありたくさんの想い出のつまったクルマであること。

とにかく、友人である奥さんがこのデミオを買ったときから売却するまでの全ての流れを事細かにホームページに記載したわけです。購入希望者は、この説明文章を読めばこのデミオの全てを知ることが出来るほどでした。実はここが重要なポイントなのですが、現物ありきの従来の販売方法と“情報”を売っているインターネット販売の違いがここにあります。通常は前オーナー色はあまり出さない販売方法が普通ですが、インターネットではあえて前オーナー色を前面に出すことをおすすめいたします。もちろんオートオークションから仕入れたクルマでも同じことなのです。
例えば、ひとつのキズを説明するのでもそうです。通常は「運転席のドアに15CMくらいののキズがあります」と説明するのが普通ですが、今回私の説明した方法は以下のような文面でした。
「このドアのキズは、持ち主の奥さんが、スーパーの帰りに自転車を引っかけて付けてしまったキズです。本人はとってとても悔やまれるキズのようでした。家に帰ってすぐに旦那さんが磨いたのですが、傷跡が残ってしまいました。友人はこのキズ以来さらに安全運転に励んでいます。このキズの状態を良く確認したところ、ボディへの凹みは見あたらず、塗膜へのダメージは最小限でした。コンパウンドの入った研磨系ワックスで少し研磨すれば、目立たなくなるのではないでしょうか?」

と言う感じで、このキズはなぜどのようについたのか?を、読んでいる人がイメージしやすいように説明しました。

 

さらにこのような工夫もしました。その工夫とは、デミオの説明文に2つの人格をもたせてあげることです。ひとつは持ち主である知人の奥さん。「乗ってて良かった」とか、「街でもスイスイ走る」とか、「大切なクルマ」とか、そういう事。そしてもうひとつは、クルマの専門家としての正確な意見。「どのようなキズで、どうすれば直るのか直らないのか。キズの深さや程度など。」この2人称を使ったクルマの解説方法は、マイナスの事柄はプラスの方向に、プラスの事柄はさらに良い方向に、と凄い効果を発揮します。

このクルマの出品者である私は、実は専門の整備資格を持ったメカニックで(2級整備士)、今回は公平な視点で解説をしていますよ!と、ヤフーオークションの解説文に事前に書いておきました。ですから自動車のプロの目から見たデミオの客観的な意見を述べていました。一方、持ち主である友人の奥さんの人格(文格?)の時は、「楽しい!」とか「ブツけて悲しい‥」とかの感覚的な表現文法をとりました。出品者としての人格の時は、「整備士としての的確な車両状態の把握と現状の状態や将来の予測」をプロとしての意見を述べ‥と、1つの事柄に対しそれぞれ2つの目線で説明するのです。

インターネットでクルマを売るときは、そのクルマの情報公開が大原則です!良いも悪いもとにかく事前にしっかり説明しないと信頼されないのです。そうはいってもできれば説明したくない内容の事柄もあるでしょう。しかしそのような時でも、説明のしかたで閲覧者の受けるイメージをコントロールすることが出来るのです。「ここにこんなキズがあるんだけど、これこれこういうワケでついたキズで、あやしいキズではありませんよ!それどころか、こうすれば目立たなくなりますよ!」と説明してあげれば良いのです。

この『持ち主と専門家との2人称説明法』は、こちらにとって都合の悪い説明時は、お互いに補完しあい、プラスな面の説明時は2乗の効果を発揮します。キズのある写真と「ドアにキズがあります。」という説明だけでは、買う人は「どんなキズなのか?」「もしかして事故車じゃないか?」「直るのか?」など、ネガティブなイメージを勝手に膨らまされてしまうのです。

ところがこれを、
運転者→「大事なクルマを縁石にぶつけた!」
専門家→「ボディは大丈夫!タッチアップもしてあるから錆びません!」
と解説することで、買う人が勝手に良い方向に解釈してくれるのです。
「この持ち主は縁石でぶつけちゃったみたいだけど、大事にのってたみたいだしちゃん直そうとしたんだな。キズもたいしたことなさそうだし、そんなに気にならないかも!」と、自分で思ってくれるのです。

これは売るほうにしてみればとてもスバラシイ事です。なぜって?だってこのキズ、直さなくても良いんですから。お客はなぜこのキズがついたかのかをすでに知っているので、気にならないのです。不安にならないのですね。理由を知っていますから「事故車では?もしかして他にも大きなキズがあるのでは?」という不安感がないからなのです。不思議なものですね。同じキズでもその理由をしっかり公開して説明することでお客は納得してくれるのです。ちょっとした説明文章の気遣いで、同じキズでも受ける印象が全く違います。

ヤフーオークションからリンクしてあるそのデミオ専用解説ページには、「いかに大事に乗っていたのか。いかにきれいに乗っていたか。そしてすべて正直にお話していると言うこと。とても安心できる買い物なんだと言うこと。価格にこだわらず安心感を買って欲しいと思っていること。」を伝えている説明文になっていました。
数多く出品されているデミオのなか、私の出品したデミオだけは車両にストーリー(物語)があったのです。

   

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